Polo G『Gangsta Graduation (feat. G Herbo)』|レビュー&解説

    Polo G『Gangsta Graduation (feat. G Herbo)』は、シカゴの現実を生々しく刻み込んだハードコアなストリート・アンセムである。重厚なベースラインと硬質なキックが織りなすビートは、まさにバンガーと呼ぶにふさわしい骨太なサウンドスケープを形成しており、そこに乗るPolo Gの研ぎ澄まされたフロウとG Herboの獰猛なデリバリーが、USヒップホップの最前線で戦い続けるラッパーたちの矜持を鮮明に映し出している。

    ビートの質感に注目すると、ダークでメロウな上ネタがループする中、ローエンドを支配するベースが街の底知れぬ緊張感を演出している。Polo Gは持ち前のエモーショナルな声質を活かしつつも、今作ではよりアグレッシブなアプローチを採用しており、ライミングの精度と言葉の重みが一層際立つ。対するG Herboのヴァースは、まるで弾丸のように畳みかけるフロウで、二人の対比が楽曲全体のダイナミズムを生んでいる。リリックは彼らが歩んできた道のり、いわば”ギャングスタとしての卒業”というテーマを軸に、成功と喪失、栄光と痛みを交錯させながら紡がれており、聴く者にストリートのリアリティを突きつける。

    HIPHOPCs編集部としては、この楽曲がPolo Gのキャリアにおいて新たな成熟の段階を示していると捉えられる。これまでのメロディアスな側面とハードなストリート感を高次元で融合させたこの新曲は、彼がヒップホップシーンにおいて単なるヒットメイカーではなく、確固たるメッセージを持つアーティストであることを改めて証明している。深夜のドライブで都市の風景を眺めながら聴くもよし、ヘッドフォンでじっくりとリリックを咀嚼するもよし、その重厚なグルーヴは多様なリスニングシーンに対応する懐の深さを持っている。

    シカゴ発のラッパーが放つこの一曲は、彼らが生き抜いてきた現実を音として結晶化させた傑作といえる。Polo GとG Herboという二人の才能が交わることで生まれた化学反応は、USヒップホップの系譜に新たな1ページを刻むに値する説得力を備えている。


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